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厨房思案 第十五話


「ありがとうございます」

今年の2月1日より始めた「おまかせ」方式も、
おかげさまで好評を頂いており、お客様には大変感謝をいたします。


そもそもこの「おまかせ」スタイルを始めるにあたっては、
新館の弟と本店の僕とでもう4〜5年前から発案しておりましたもので、
当初は時期的な事もあってうやむやになってしまったのですが、議論は大いにやりました。
”やろうか、やるまいか?”ではなく、”どのようにやるか?”で話し合いを重ねました。

すでに、開店時から常連のお客様には「おまかせ」のお肉の盛り合わせをお作りしておりましたので、 特にこれといった違和感というものはなかったものですから、
とにかくやりましょう、ということで、試作品やらサンプルなどをこしらえては食べて、
ああでもないこうでもないと、らちのあかない日々を過ごしておった訳です。

そうこうする内に、何年かこの事案はうっちゃっておったのですが、
昨年の暮れに自宅で弟とまたいつものように店のさまざまな事柄について話ている内に、
またぞろ例の「おまかせ」の話が出て、どちらかという訳でもなく
”やはり実行しましょう!”ということで、
12月31日夕方4時から、未明というか明方6時30分迄かかって、 この「おまかせ」の方式・価格・肉の内容・容れ物・開始時期まで、 全てこしらえてしまったということでありました。

おおげさに云えば、「焼肉くにもと」の最高会議です。
普通の会社員であったら、この事案はボツになるか、どこか遠くの地方支店に行かされるような事案であったかも知れません。
ですから僕は、この小さい店のおやじでとてもホッとしています。

ま、そこで話を元に戻しますと、
では一体なせそういう「おまかせ」スタイルということにしようと思ったのか、につきましては、
これはもうやはり、「牛肉の一頭買い」を始めて、
牛肉というものはこれほど多くの部位があって、
しかも各部位ごとにお肉の味がそれぞれとあり、
ロースとカルビだけでは分別しきれない面白味のある、
そして味わいのある食べ物であると、常々考えておった訳であります。

もうすでに半世紀を越えるこの「焼肉」という食文化スタイルは
先人達の残した文化遺産であり、我々の財産でもありますが
時代の流れと共に少しづつ変化をしていくのも世の常であると思います。
しかし、美味しいものをしっかりと食べるということはこの先も変えてはいけないことであり、
人間の本能的な感動を満たす「牛肉」はなんといっても「ごちそう」であると僕は思います。

ご来店のお客様には、この「おまかせ」という前代未聞のスタイルに信頼をお寄せいただいて、
この場をお借りして厚く御礼を申し上げます。

東京 浜松町「焼肉 くにもと」は
品格のある、そして皆様に旨い牛肉を食べて頂く、「焼肉屋」と云うよりむしろ「牛肉屋」として、
今まで通りコツコツと牛の歩みを続けようと思います。

ご来店本当にありがとうございます。
於、首都高速箱崎の大渋滞の車中にて。

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