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厨房思案 第二十一話


「手に職」

このあいだテレビを見ていたらアメリカのギター造りの名人と評判の人が見事なギターを製作していた。

”木の材質とか音などを自分の耳で感じ取り、それを手によって伝える”というようなことを云っておられた。 その彼の言葉に僕はジンときてしまいました。
なぜなら、その言葉の意味が自分の感性にピーンときたからなのです。
全米から注文が来るという彼の作るギターは「どうしてもおまいさんの造るものじゃなきゃだめなんだ」というお客さんの期待を裏切らないだろう。

もしも焼肉をやっていなかったら、これを見てすぐに片道の飛行機賃だけ工面してアメリカにすっとんで行き、その現場をこの目で見たいと強く思ったのですよ。
いいモノを造る人はいいですね。

モノを造ったり創造をするということは、これはやはりその方の感性から手に伝わり、良いモノが生み出されるのであるから、 僕も、よぉーし、良質の牛肉を自分の感性のあるがままに自分の手で創造し、お客さんに食べて頂けたら、 こんなに素晴らしいことはないと自分に言い聞かせて、アメリカくんだりまでゆかずともこの浜松町でそれを達成したらいいではないか、
などとこれまた自分に言い聞かせる。

モノ造りといえば、以前住んでいた我が家も細い路地裏に長屋のようにびっしりと隙間無く建物が並び建ち、 落語に出てくる”八っぁん、熊さん”の住むような所だったが、家は注文で建てたのでずいぶんと住みやすかった。
父の知り合いに当時大工の頭がいて、その人がほとんで一人でやったのだが、 実に無口でまったく閉口した。 しかし、腕がすこぶる良く、20年以上も住んだがびくともせずに、建具や風呂などの水まわりも実にいい仕事をした方だった。

テレビでギター造りの名人を見ているうちに、この大工の頭とオーバーラップして思い出した。
考えてみれば、昔はこのような「無名であっても腕が良くいい仕事をする職人さん」が沢山いたが、 今のこのご時世、あまりみかけなくなりました。 およそ時代の移り変わりというころがあるかも知れないが、今は人の気質も生活の文化も変わって、これはもう仕方のない現実というものである。 小僧から見習いに入り、手に職をつけて一人前になったら、その覚えた腕で独立して女房や子供を喰わしていく、なんてことは遠い昔のハナシで、今や、インターネットやパーソナルコンピューターを武器に世界をまたにかける、 この時代に何を云ってやがるとお思いでしょうが、いいや、やっぱり手に職をつけるってことは、今のこのご時世でも立派に通用すると僕なんぞは思います。

若い時分には体力もあるし、体も疲れない。
仕事でヘコンでも失敗しても頭をさげてやり直しがきくが、いい年になって会社をクビになったら、いや定年になっても、手に職があればなんとか喰っていけます。
テレビに出てくるようなギター造りの達人までゆかずとも、長屋の我が家をお建てになったあの大工の頭ほどの腕があれば、無口だろうと偏屈だろうと、ごはんは食べていけるのですよ。
そういう僕は若い頃にずいぶんと好き勝手をしましたが、今となってはなんとか最初に覚えた焼肉屋の見習いが、今の僕の支えになっています。
於、自宅

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我家のストーブは27年も現役です。
国産メーカーのあれは確か……、SANYOでした。
このストーブを作った方々はもう定年して何をやっておいでですかねぇ。

「燃ゆる炎をじっと見る 技術者達の夢のあと」
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