・厨房思案 第84話
・厨房思案 第83話
・厨房思案 第82話
・厨房思案 第81話
・厨房思案 第80話
・厨房思案 第79話
・厨房思案 第78話
・厨房思案 第77話
・厨房思案 第76話
・厨房思案 第75話
・厨房思案 第74話
・厨房思案 第73話
・厨房思案 第72話
・厨房思案 第71話
・厨房思案 第70話
・厨房思案 第69話
・厨房思案 第68話
・厨房思案 第67話
・厨房思案 第66話
・厨房思案 第65話
・厨房思案 第64話
・厨房思案 第63話
・厨房思案 第62話
・厨房思案 第61話
・厨房思案 第60話
・厨房思案 第59話
・厨房思案 第58話
・厨房思案 第57話
・厨房思案 第56話
・厨房思案 第55話
・厨房思案 第54話
・厨房思案 第53話
・厨房思案 第52話
・厨房思案 第51話
・厨房思案 第50話
・厨房思案 第49話
・厨房思案 第48話
・厨房思案 第47話
・厨房思案 第46話
・厨房思案 第45話
・厨房思案 第44話
・厨房思案 第43話
・厨房思案 第42話
・厨房思案 第41話
・厨房思案 第40話
・厨房思案 第39話
・厨房思案 第38話
・厨房思案 第37話
・厨房思案 第36話
・厨房思案 第35話
・厨房思案 第34話
・厨房思案 第33話
・厨房思案 第32話
・厨房思案 第31話
・厨房思案 第30話
・厨房思案 第29話
・厨房思案 第28話
・厨房思案 第27話
・厨房思案 第26話
・厨房思案 第25話
・厨房思案 第24話
・厨房思案 第23話
・厨房思案 第22話
・厨房思案 第21話
・厨房思案 第20話
・厨房思案 第19話
・厨房思案 第18話
・厨房思案 第17話
・厨房思案 第16話
・厨房思案 第15話
・厨房思案 第14話
・厨房思案 第13話
・厨房思案 第12話
・厨房思案 第11話
・厨房思案 第10話
・厨房思案 第9話
・厨房思案 第8話
・厨房思案 第7話
・厨房思案 第6話
・厨房思案 第5話
・厨房思案 第4話
・厨房思案 第3話
・厨房思案 第2話
・厨房思案 第1話
・マスターの独りごと


・新館マスターのページ
厨房思案 第二十三話


「THAT'S WHERE I AM」(−True story about 「くにもと」−)

途方に暮れていた訳でもないが、とにかく探さなくちゃいけないという何か後ろから誰かに押されたように あてもなく店舗を探していたので、貸看板が出ていようがいまいが、自分の感を信じて動いていた矢先に とうとう見つけ出したのが今の本店の場所であった。

もちろんいきなり人様の家に行き「貸してくれ」などとは言えない。
とうとう見つけたその家の情報収集から初めて、一体どなたが持ち主かを最後の最後になって 近所の八百屋のご主人から聞いたのである。 大家さんの親戚の方が借りていらして、 そこは金アミの会社をおやりになっていて、実はもうすぐ引越しをする予定、ということも聞き出した。

引越し?
今何と言いました?『引越し』?ですか?
僕はなんて運がいい奴なんだ!

早速キチンとした服を着て、髪をとかし、名刺を持ってたずねて行ったのである。
しかし、そうは云ってもドキドキする。
電話で”おたずねしたい”と直接頼んでみたものの、おそるおそる、
「あのう、貸して頂けませんか?」とやったものだから「ハァー?!」は当たり前なのである。

事情を説明し、何とか大家さんに取り次いで頂けないでしょうかと食い下がり、2回、3回とやり取りが続き、 先方様も、こんな家でよければどうぞ、とついには貸してくれたのである。
何をどう思って自分がこの家をどうしても借りたいのか、今以て分からない。
重ねて云うが、とにかくひでぇもんだった……!(大家さん、本当にすみません)

最初に見つけた物件のほうが25坪もあり、2階の窓から桜の木々を臨み、いい雰囲気の場所だったのに、その物件を査定中にもかかわらず断ってしまった。
『どうしてもこのボロ家を借りたい!!』
昔の言葉に、アバタもえくぼを思い出したが、惚れたものの弱みでこれはもうどうしようもない。誰が何と云おうと僕はここでやる、と決めてしまったのである。

そんなこんなでついに借りてはみたものの、なにせ古い建物。
大工さんになんとかしてほしいと頼んでみたが、ずいぶんと嫌な顔をされ、その上予算が厳しいときているから、開店日のその日まで僕も手伝いに朝から明け方までコキ使われ、やっとの思いで完成した日には、大工の頭と手に手を取って、店の玄関前でおいおいと男泣きに泣いてしまったのはついこの間のような気がする。
近代的な設備を施した建物には程遠いが、当初のボロ家が見違えるようになったのにはびっくりしたし、うれしかった。 自分が選んだこの家で、思う存分自分の思った通りにいい仕事をしようと自分自身にいい聞かせて、ついに、「焼肉くにもと 本店」は完成をみたのである。

僕のいる場所、「そこが僕のいる場所」を見つけたのは今でも不思議だがめぐり合わせの妙と思っている。 しかしながら、雨が漏れは修理をし、トイレが詰まれば排水工事をしと、年中どこかを修理している有様だが、金のかかる女に惚れたと思ってそのくらいは大目にみようかぐらいの気になっている。

縁というものは人と人だけではなく、人と家、人と場所にもあるんですねぇ。

「THAT'S WHERE I AM」完
於、本店厨房
トップ   メニュー   店舗案内   ご予約   お知らせ   スタッフ   地図