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厨房思案 第二十四話


「僕の気持ちは犬が知っています」

僕の家には犬が一頭おりまして、この犬は実はある人から預かっているのですが、もうかれこれ10年近く引き取りにこないので今では我家の愛犬になっています。
「シーズー」という小型犬です。

動物を飼うということは初めてだったものですから、最初の頃はずいぶんと世話を焼くといいますか、やれ病院だ、予防ワクチンだと手間の掛かることに少しウンザリしましたが、ここ最近になって、ようやくその段取りというか、「犬」との生活にもなれてきたという訳です。
この「犬」は何といいますか非常に性格の良い「犬」で無駄に吠えることもなく、無口で(当たり前です)自分が預かりの身であることを知っているかのように控え目な振る舞いに好感が持てます。 しかし、そこは動物ですから時にはじゃれついたり我がままな態度を示したりしますが、それでも他の家の「犬」の様子などを伺いますと、我家のこの「犬」は相当におとなしいと思えます。

あれはいつだったか、店で残業をし、僕も相当に疲労して気分があまり良くない状態で帰宅した時だったと思いますが、
「犬」が側に寄ってこないのです。

いつもでしたら玄関のカギをがガチャガチャすると、白い尻尾がクルクルと廻りながら玄関の内側を忙しく歩く様子がシルエットになって見えるのですが、その夜はそれがありませんでした。
玄関を開けてみると、あがりがまちに腰かけてお付き合い程度に2〜3回ゆらゆらと尻尾を振りましたが、その後はうわ目使いに僕の様子を見ると、息を殺したようにジッとしておりました。
具合でも悪いのかと皆に聞きましたが、ついさっきまではおやつを食べてゴキゲンだったそうです。

それが何故?急に。

翌日には「犬」もいつものように元気にしておりましたので安心をしましたが、それからずいぶんとたって、ハタと気が付きました。
僕の機嫌の良い時はそうでもないのですが、仕事のことや何かのトラブルで気分が良くない時とかイライラしている時などは、この「犬」は玄関の外でカギを開ける前から僕の持つその日の「空気」といいますか、オーラのようなものを感じ取っているように思えたのです。
その夜の僕の持っていた「怒りの匂い」を感じ取っていたんですね。
動物はすごい能力を持っています。

よくテレビで大相撲などを見ますが、横綱や大関などの取り組みで、負けるはずのない力士が負けて「負け残り」で桟敷の前にドッカリと座り、宙を睨むようにしている光景を見ますが、あの気持ちが良くわかります。
”なぜ負けた?”、”どこが悪かった?”、いや、”ただ呆然としたかった。”
などなど理由があると思いますが、あれはあれで気持ちを整理したかったんだろうと思えます。
負ける筈のない自分が負けた、その気持ちのまま支度部屋へ戻れば何となく中途半端な気になるのだと思えます。 「負け残り」をすることでその日の自分の気持ちをそこへ捨てて切りかえを計り、支度部屋へ戻った時は”ヨッシャー、明日は勝つよ!”と自分に云い聞かせているかもしれません。

もうすでに10年もいる我家の「犬」は僕の持っているその日の悪い気やヘコンでいる気を家に帰る前にすでに知っているというか、波長をちゃんと匂いで感じ取るのですから、「犬」が側によってこない日は自分の「気」が良くないか怒りの匂いで満ちていると、まるでバロメータのように分かるのです。 ですから、そういう日はなるべくそういう「気」やヘコンでいる自分をどこかへ捨ててくるようにしています。

僕の「負け残り」は時としてカラオケであったり、映画を観たり、あるいは出勤前においしい昼ごはんを食べたりと、自分なりに考えるようになった訳です。

いつものように深夜2:00に玄関のカギをガチャガチャやりますと白い尻尾がクルクルと廻るのがはっきりと見える夜は、まぁ、何といいますか、ホッとする訳です。

於、自宅  ウォルトディズニー映画を観て。
プルートは犬であるがグゥーフィは人間の言葉を話す。
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