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厨房思案 第四十五話
「焼肉の効能」
               
おいしいものを食べるというのは身も心も疲れ切っていない日がいいと思う。
あまり疲れてボロボロの状態ではもちろん食べたいと思わないだろうし、 仕事に首までドップリつかった、ストレスぎっしりの人は、 1日の締めくくりにお酒を飲んでドンチャンやろうと云うのも、ヘタをして度を超せば虎にもなるしオオカミにもなる。 10年位前のお客さまは結構そのような感じの、目はぎらついて、腹立たしさを顔に残しつつ来店した方々が実に多かった。
これはもうすぐ分かる。
こうなると、もう喰い物や酒なんぞで癒やせるレベルではない。
セラピーに行くか、家に帰って泥のように眠るほうがいい。
僕はドクターではないから詳しく知らないが、素人でもそれ位は感で分かる。
であるから、当時はひどくなる前にお酒は売らなかった。
もういい加減にこんな飲み方はよしたらどうだ、などど思っていたら、 それから10年も経て、今はもうそれ程すごいストレスの人はみかけなくなって(まぁ、いらっしゃるでしょうけど)、 おいしいものを食べようと云うお客さまが増えて、世の中も時代と共に変化をしてきたのだなと、思う。
                   
じゃぁ、おいしいものを食べるということを、僕なりに考えると、程々に疲れた体と適度な緊張感とお腹すいたァーという健康な要求と、そこそこのお金があれば、 食べ物の味が分かるし、その効能においては充分に体や五感に作用する、いわゆる”効き目”があるというものだ。
それが栄養となって吸収し、やがて活力となる。 これが食べ物の効能なんじゃないか。

だがこれはあなた、すぐ忘れる。
なぜなら我々現代人は忙しいのだ、常に。

このあいだ新聞に”フランス人はバカンスに5週間も休暇をとる”とあった。
『5週間』。 気の遠くなるような日々を彼等は休暇に費す。
休んでみたい、僕も。3週間でもいい。
病気でもなく、入院でもなく、健康な体で3週間。
「おまえ、3週間、何につかう?」と自問すれば、
「さぁ、どうするか。分からない、さっぱり分からない。」
3週間でも5週間でも、何もせずに仕事も忘れて(これはむずかしい)体をリセットしたら、自然の空気、花々の香り、耳も良くきこえて、鼻も敏感になり、 おしんこひとつつまんでも、その味わいがよく分かるかもしれない。 (だが人間、働かないと腹などへらぬものだ)

先進国になって、とおに体は楽になってもいいのに、
僕達は5週間どころか懸命に働かないと喰ってゆけない。
このお金を惜しんでとっておく。
”後でなにかに使うだろう。”
”あのお金は使ってもいいが、いざ、という時の為に様子をみよう”などと考えて、
お金の使い方がシビアーになって、
いざという時に、この虎の子(※大切なお金)をはたいてもいいからどこそこへ行って、これにお金を使ってみたいという所が一体どれ程あると云うのだ、 などと指で折る内に、
2階からときおり聞こえてくるお客さまの笑い声に、 焼肉の効能を、少しく実感するのであります。
於、本店厨房
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