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焼肉の巨人達 その3

「いい仕事」をする、本当に優しい人だった凄腕チーフ。

前回に続いて、僕の修行時代のお話を……。

西成でしばらく先輩と一緒に働いて段々焼肉が面白くなりました。 だけど、もっといろいろな現場というか、技も覚えたくて、その店、そして先輩とも別れて一人で大池橋の「一龍(いちりゅう)」という焼肉レストランに兄貴の紹介で入りました。

そう、ここで、ここで!!
運命というか、オレの人生を変える凄腕の人で出会ったんです。 それが「石田チーフ」という方。 なにからなにまで、オレにはショッキングなすごい人でした。 丁寧な仕込み、早い仕事、肉の目利きなど。本当にいい仕事をされる方でした。

例えば、「ワカメスープ」。 良質のワカメ(ワカメの茎を取り除く)、ニンニク、ネギを手早く炒めて、ガラスープを入れる。 シコシコのワカメと旨みの溢れたスープ。……忘れませんねー。
何事にも手を抜かないのよ、この方は。

「骨付きカルビ」なんかはね、「肉・骨・肉」(※1 参照)って感じで、焼くといい香りがしてくる。 肉にむしゃぶりついて、最後の骨のところからプルンッと肉がはずれる。 この仕事、今できる人いなくなったよねぇ。

「冷麺」は手で練る!
インスタント麺???ジョーダン言っちゃダメですよ。手で練って造るの。最初から最後まで。
粉に熱湯を入れて身体全体を使ってすばやく、練る。 湯がさめちゃうと粉がまとまらなくなるからこれはもう時間との戦い。 熱いからって手加減しちゃうと、もういい麺はできない。
(熱さで)手の皮がズルむけになちゃって何回やってもうまくいかない。

でもね、石田さん、何にも云わない。優しい人だった……。
今のオレの姿、この人のパワーというか、オーラが宿ってきてると思う。
よく教わったね。盛り付けも美しい。 「いい仕事をする人」、少ないけどちゃんといるんだなって思ったもんです。

この人と出会って、オレの焼肉人生が始まったな、と思いますね。 行き先がぼんやりとしていた自分の道が、少しづつクリアーになってきたな、と思いました。

次回は「いい肉を出す焼肉屋」にいた時のこと、お話しますね。

         …… つづく ……
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