「焼肉くにもと・本店」全国優良銘柄牛生専門点

「良い脂を求めて」
ここのところ、鳥取県産の田村牛の価格が上がってしまって、なかなかおいそれと買えなくなってしまった。 とはいえ、美味しいからね、品切れにならないように細々仕入れてはいる。

田村牛は田村さんという個人名の銘柄で、社長さんも時々顔を見せてくださる。
あまり口は利いたことはないが、良い方だと思う。 良い牛を作るんだから、そういうのはちゃんと伝わるよ。 今は、田村さんの他に茨城県とかもある。これもなかなかいいな。
脂が優しくてね、お腹に。

牛肉の銘柄は、松坂牛とか神戸ビーフ、近江牛とか但馬牛など、ほんの一握りのスーパースターがあるんだけど、 田村さんはきっとそのスーパースターの仲間入りだろうな。 そうなると益々買えなくなるな。思案の種は尽きぬものだよ。

だけど僕は焼肉屋のオヤジだから、牛肉の銘柄の行く末も大事だけど、
キムチとスープと焼肉は自分の子供のようなものだから、これを忘れないようにしている。

肉は追いかけるとあらぬ方向に商売がそれてしまうものだ。
しかしね、究極の肉などというもの、万人老若男女の人が全て満足する肉が、この世にあるのかね。

近頃は、赤身肉が好まれるが、じゃあ霜降り肉は食べないかというと、これがそうでもない。 しっかり召し上がる。お客さんは。
鮨屋でタコばかりつまんでると、中トロとか穴子とかいくでしょう。結局脂なんだよ、舌が欲するんだ。脂を。 霜降り肉も赤身肉も脂が肝腎なのだよ、しかも良質の脂だよ。これは鮨も鰻もてんぷらも同じさ。共通点があるんだよ、ちゃんと。

しかしね、生き物の肉というのは難しいね、
ひとの口に入るほんの30グラム足らずの一片の肉が、幸せだなぁとつい漏らす瞬間を求めていろいろな方々がご苦労されているんだから、 これはもう宇宙の世界なんだと思う。

話が宇宙になったところで、この辺でお開きにしとこうか。

焼肉くにもと本店にて